フレイルとは?

フレイルは、年齢とともに心身の機能が低下し、健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態を指します。「虚弱」や「老衰」と訳されることもあります。
フレイルには大きく3つの側面があります。筋力低下などの「身体的フレイル」、認知機能の低下などの「精神的フレイル」、そして社会との関わりの減少による「社会的フレイル」です。これらは相互に関連しており、総合的なケアが必要となります。
ロコモとの違い
フレイルが心身の機能全般の低下を指すのに対して、ロコモティブシンドローム(ロコモ)は運動器(骨、関節、筋肉など)の機能低下に特化した概念です。ただし、両者は密接に関連しており、例えば運動器の機能低下によって外出が減少すると、精神面での活力低下や社会との関わりの減少にも繋がります。
当院では、フレイルとロコモ、それぞれの状態を適切に評価した上で、運動療法や栄養指導を組み合わせた総合的な予防プログラムを提供しています。どちらも早期発見・早期対応が重要で、適切な予防・改善により、いつまでも自分らしく活動的に過ごすことが可能になります。
フレイルの症状と兆候
身体的な変化
- 階段の上り下りが大変に感じる
- 歩くスピードが遅くなった
- 疲れやすくなった
- 体重が減ってきた
- 握力が弱くなった など
精神面での変化
- もの忘れが気になる
- 何事にも意欲が湧かない
- 気分が沈みがちになる
- 決断をするのが難しくなった など
社会面での変化
- 外出の機会が減った
- 人と会うことが少なくなった
- 趣味の活動をしなくなった など
フレイルの原因
加齢に伴う筋力低下や、運動不足による体力の低下が主な原因です。また、骨粗鬆症などの基礎疾患や、栄養バランスの偏り、社会活動の減少なども、フレイルの進行を早める要因となります。
特に注意が必要なのは、1つの要因が他の要因を引き起こす「悪循環」です。例えば、筋力低下により外出が減少すると、さらに運動不足が進み、社会との関わりも減少してしまいます。
フレイルの診断方法
次のような方法でフレイルの評価を行います。
- 基本チェックリストによる生活機能の評価
- 握力や歩行速度などの身体機能測定
- 体重変化や食事内容などの栄養評価
- 日常生活や社会活動に関する聞き取り など
これらの結果を総合的に判断し、フレイルの程度や原因を特定していきます。早期発見・早期対応が、健康的な生活の維持に重要です。
フレイルの予防と改善
フレイルを予防することは、単に寝たきりを防ぐだけではなく、いつまでも自分らしく活動的に過ごすために重要です。また、骨粗鬆症などの他の疾患の予防にも繋がります。
運動療法
筋力低下を防ぐためのレジスタンス運動や、転倒予防のためのバランス運動が重要です。当院では、理学療法士が患者様の状態に合わせた運動プログラムを作成します。
また、ご自宅でできる運動メニューもご提案しており、週2回程度の通院と組み合わせて効果を高めていきます。
栄養バランスの改善
筋肉を維持するためのたんぱく質や、骨の健康に欠かせないビタミンDなど、必要な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。当院の管理栄養士が、ご自宅で実践できる具体的な食事内容をアドバイスいたします。
社会活動の継続
定期的な外出や人との交流は、心身の健康維持に重要な役割を果たします。当院では、リハビリテーションを通じた交流の機会も提供しています。
当院のフレイル予防プログラム
フレイルは早期発見・早期対応が重要です。神戸市西区・伊川谷・明石のさいた整形外科リハビリテーションクリニックでは、次のような総合的なアプローチを行っています。
- 定期的な機能評価と個別指導
- 理学療法士による運動指導
- 管理栄養士による食事指導
- 継続的な経過観察とプログラムの調整 など
フレイル予防と骨粗鬆症の予防
フレイル予防と骨粗鬆症の予防は密接に関連しています。適度な運動は筋力の維持と同時に骨の健康にも効果があり、バランスの良い食事は両方の予防に重要です。
当院では、これらを総合的に捉えた予防プログラムを提供しています。「運動」「栄養」「生活指導」を組み合わせることで、より効果的な予防を目指します。
ご自身やご家族の体力低下が気になったら、早めの対策が大切です。「最近、階段が少しつらくなってきた」「歩くのが遅くなった気がする」など、ちょっとした変化に気づいたら、まずは一度お気軽にご相談ください。いつまでも自分らしく活動的に過ごすために、一緒に予防に取り組んでいきましょう。